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ニューヨークのアトリエで、マイラは身の回りに置くものを慎重に選びます。それは、好きなものだけに囲まれていたいから。彼女のお気に入りは、アイロン、友人が作ってくれたディッシュクロス、そしてチェア。「チェアは特にお気に入りです」と彼女。「ですが、身の回りにあるモノに内在する美しさや驚きをどのように定義しますか?」
きっと、実用性の中にある美しさだと彼女は答えるでしょう。「すべての椅子は飾りではありません。それは座るため、生活するためにあります。スタジオにあるものは、すべてに意味があり、役に立ちます。つまり、ここに存在する理由があるのです。『良いデザイン』の定義のひとつは、その必然性です。最初は独創的な点に惹かれたとしても、最終的には必然性が決め手なのです。 」
実用主義的なアプローチもまた、マイラの仕事に影響を与えています。「言葉にすると浅はかに聞こえますが、不必要なものを排除する方法を知っているのです」と述べる彼女の生活には、音楽や映画、書籍が「重要な部分」を占めていると言います。また彼女は、散歩をしたり、スタジオで一人で過ごしたりする時間を大切にしています。つまり、Facebookもしなければ、Instagramで誰かをフォローすることもせず、新聞も読みません。「私は外部から隔離された繭のような環境にいますが、それはとても活き活きと活動する空間なんです。仕事や執筆をし、絵を描きますが、これらは一日中瞑想をしている感覚です。私の人生には、孤立感とつながりの感覚を同時に生み出すようなものが豊富にあるのです。」
毎日、マイラは新聞を読む代わりにプルーストを読むという習慣を、10年以上続けています。「プルーストを読みたかったのですが、導いてくれる人が必要だったんです」と彼女は言います。彼女は知り合いの多くの女性に尋ねました。「必要なものがあれば、周囲にいるできるだけ多くの女性と話すことです。そうすれば大抵のものは見つかります。」そう彼女が言うように、出会いがあり、プルーストの読書グループができました。「全7篇を読むのに7年かかりましたが、プルーストが人生におけるすべての質問に答えてくれるというのは本当です。プルーストは、あなたを精神的な悩みから救い出してくれます。精神科医が必要だと思うなら、何よりもまずプルーストを読むことをお勧めします。」
そう話すマイラですが、毎日、新聞のあるセクションには目を通すのだとか。「死亡追悼記事を読んでいます。それは美しく綴られた、それぞれのちょっとした伝記です。ケーキの焼き型の発明や強制収容所からの人々の救出、素晴らしい音楽の作曲まで、これらのストーリーはその日の励みになります。これを読むたびに、私は自分がやるべきことを再確認するんです。」
これまで、30冊以上の本を執筆し、イラストを描き、『ニューヨーカー』誌の表紙を15回飾り、世界中の美術館で展覧会を開催してきたマイラですが、新しいことを始めるのは怖いと言います。「新しいことを始めるのは楽しいけど、ビクビクしているんですよ」と述べる彼女。「それは面白いだろうか。退屈ではないだろうか。吉と出るか、凶とでるか。脳裏から恐れが消えることはありません。ですが自分に問い続けるために、恐怖は消えてはならないのです」。
マイラは、スリルと恐怖が入り混じる感情を受け入れています。新しいプロジェクトのたびに自分が何を表現しようとしているのかを理解するためには、その両方が必要だとわかっているからです。人生におけるすべてがそうであるように、これらは絡み合っています。「悲しみなくして美は生まれないし、悲劇なくして喜びは生まれないものです」と付け加えました。
映画や音楽、絵画、チェアなどそれが何であっても、新しいものを創出するときの奮い立つ気持ちもまた、マイラを魅了するのだそう。しかし、彼女はこう警告します。「あなたが市場を先読みしようとしたり、トレンドの一部になろうとするなら、道を見失うでしょう。自分のストーリーを語るなら、新しいストーリーは必ず生まれます。そうでなければ、創造は終焉を迎えます。」