スタジオ7.5 がドイツのベルリンで設立した当時、設立メンバーのバークハード・シュミッツ、クラウディア・プリカット、カローラ・ツヴィックは面白いプロジェクトを手がけたいと思っていました。そして役割や役職に関係なく自由に取り組みたいと思っていました。
以来、これが彼らの経営基本となっています。「ここに上司は存在しません」と、その後メンバーに加わったローランド・ツヴィックを含むメンバー全員が語ります。これは全員の言葉であると強調しながら、こう続けます。「グループの各メンバーがプロジェクトのすべてを担当します。こうしてアイデアを育て、心を解放させ好奇心を維持するのです。」
ドイツ統合直後の1992年に彼らが共同経営を開始したとき、ベルリン市内でオフィス用スペースを探すことは大変困難でした。そこで彼らはもっと自由な発想をしました。特別な運転許可を必要としない7.5トンのトラックをレンタルしようと考えました。「トラックにモデルショップを乗せ、プロジェクト現場からプロジェクト現場までそのまま移動できると思ったのです」、と語ります。こうして「スタジオ7.5」という名前が誕生しました。実際にそのトラックのアイデアは実現されないまま最終的にオフィスを構えましたが、グループの名前は現在に至ります。
クライアントの製品デザインをする際、スタジオ7.5は迅速かつスマートに行動します。コンセプト段階から模型制作までの工程に、時には1、2日で「製品」の大まかなプロトタイプの制作を開始します。
まるで子どもが粘土の山と自由に遊ぶように、プロトタイプの制作は彼らのお気に入りの作業なのです。
彼らによると、「製品デザインを手掛けるには、三次元で作業することが必要です。」「そのため私たちは、詳細なレンダリングの作成に時間をかけません。コンピュータで作成された図からは、フィーリング、感触、そして匂いが伝わりません。」
そして、共同作業にはつきものである意見の不一致があった場合、誰に最終決定権があるのでしょうか?この質問に、「問題について全員で話し合い、ベストな考えを優先します」と全員が答えます。「4、5人集まると物事が複雑になると思うかも知れませんが、例えばメンバーの2人が議論をしていると、他のメンバーはレフリーになり『彼女が正しい』『いや、彼が正しい』などと意見を述べます。人数分だけ様々な見解が聞けるので、実際は物事がスムーズに運びます。」
全員に共通するのは、彼らがファニチャーデザインを愛しているところです。「例えばテープレコーダーと比べて何がファニチャーデザインのおもしろさかと言うと、テープレコーダーのデザイナーは指揮系統の最下部に位置します。これは「パッケージング」を美化したに過ぎません。しかし家具の場合、もっとトータルな位置づけになります。」
彼らは、オフィス・チェアのデザインが最もやりがいがあると感じています。「私たちは椅子の外観だけでなく、チルトの特徴までをも含む椅子の性能を定義します。私たちが椅子の性能をとても重視する理由は、美とは目で見るものだけでなく、からだで感じるものだからです。」
特に、自分の好きにできる自由があるならば。